家かマンションか。5年悩んで100件内見した私が、ようやく気づいたこと
白状します。私は「家を買おう」と思い立ってから、5年以上決められていません。
戸建てのモデルハウス、新築マンションのモデルルーム、中古マンションの内見。週末のたびにどこかしらの物件へ足を運び、気づけば見学した物件は100件近くになりました。これだけ見れば目も肥えるし、いつか「これだ」という一戸に出会えるはず——そう思っていました。
結論から言うと、出会えませんでした。そして最近になってようやく、その理由が「物件」の側ではなく「自分」の側にあったことに気づきました。この記事は、同じように迷い続けている方に向けた、私の迷走の記録と反省です。
迷走のはじまり:「とりあえず見に行く」が止まらない
最初のきっかけは、多くの方と同じだったと思います。「家賃を払い続けるのはもったいない気がする」「そろそろ広い部屋に住みたい」。それで近所の新築マンションのモデルルームに行ってみたのが始まりでした。
モデルルームは、楽しいのです。ピカピカの設備、練り上げられた動線、営業担当者の丁寧な説明。帰り道には「買う気」が7割くらいまで高まっている。ところが数日経つと、「待てよ、同じ予算なら郊外に戸建てが買えるのでは?」という考えが頭をもたげます。それで次の週末は住宅展示場へ。すると今度は戸建ての魅力に7割傾く。その繰り返しでした。
見学件数が増えるほど、比較の掛け算は膨れ上がります。戸建てかマンションか。新築か中古か。都心の狭さを取るか、郊外の広さを取るか。駅近か、環境か。どの物件にも良いところがあり、どの物件にも妥協点がある。100件見た頃には、それぞれの選択肢の「良さ」を語ることは誰よりもできるのに、自分がどれを選ぶべきかはまったく分からなくなっていました。
迷い続けたことの、本当のコスト
5年迷い続けて痛感したのは、「決めないこと」にもコストがあるということです。
- 時間のコスト。週末の見学に費やした時間は、積み上げればかなりのものになります。家族との貴重な休日でもありました。
- 心のコスト。「いつか買う」が頭の片隅にあり続けると、今の住まいへの投資(家具や模様替え)にも踏み切れず、暮らしがずっと「仮住まい」のままになります。
- 市況のコスト。この間に価格相場も金利環境も動きました。「あのとき見たあの物件」を思い出しては、ため息をつくこともあります(もっとも、これは結果論であり、焦って買えばよかったという話ではありません)。
それでも私は「もっと物件を見れば答えが出る」と思い込んでいました。今振り返ると、これが最大の誤りでした。
転機:物件の話をしないエージェント
転機は、中古マンションのリノベーションを手がける不動産サービスのエージェントに相談したことでした。
正直、また同じような営業トークを聞くのだろうと構えて行きました。ところが最初の面談で、物件の話がほとんど出てこないのです。代わりに聞かれたのは、こんなことでした。
「10年後、どんな平日の夜を過ごしていたいですか」
「働き方は今後変わりそうですか」
「住まいにお金をかけたいのか、住まい以外の人生にお金を残したいのか、どちらの感覚が強いですか」
これは、転職エージェントのキャリア面談とほとんど同じ構造でした。求人(物件)を並べる前に、キャリア(暮らし)の軸を一緒に整理する。そして軸が言語化されて初めて、「それならこういう選択肢がありますよ」と具体案が出てくる。
面談を終えたとき、5年間で初めて「自分は何に迷っていたのか」がクリアになっていました。私の場合、迷いの正体は「戸建てかマンションか」ではなく、「住まいにどこまで人生の予算(お金と時間)を配分するか」を決めていなかったことだったのです。
100件見て気づいた、たった1つのこと
私の結論はシンプルです。物件を見る前に、自分の判断軸を先に決める。軸が先、物件は後。
判断軸がないまま物件を見ると、物件ごとの魅力に判断基準のほうが引っ張られます。駅近物件を見た日は立地が最重要になり、広い戸建てを見た日は広さが最重要になる。基準が毎週変わるのだから、決まるはずがありません。
逆に、軸さえ決まれば、見るべき物件の種類は自然と絞られます。私の場合、軸を整理した結果「立地は妥協しない・内装は自分で決めたい・管理は仕組みに任せたい」が明確になり、選択肢は「中古マンション+リノベーション」へ一気に収束しました。100件の見学で得られなかった前進が、数時間の整理で起きたのです。
同じ場所で迷っているあなたへ
もしあなたが今、「物件はたくさん見ているのに決められない」状態なら、足りないのは物件情報ではなく、判断軸の整理かもしれません。
私の5年間の遠回りを、数分に圧縮したのが当サイトの夢中歴住まい診断です。8つの質問で、あなたが住まいに求めているものの優先順位をタイプ別に整理します。また、比較の具体的な物差しは「戸建てvsマンション、後悔しないための7つの判断軸」に、エージェント相談の体験談は「中古を買ってリノベという第3の選択肢」に詳しく書きました。
5年は、かかりすぎです。あなたはもっと早く抜け出せます。
物件を見る前に、まず自分の判断軸を整理しませんか。
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